経済学・経済政策

中小企業診断士:2017年度経済学・経済政策(6-10)

【第6問】
景気動向指数の個別系列は、先行系列、一致系列、遅行系列に分けられる。各系列の具体例の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

  1. 先行系列:消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)
    一致系列:実質法人企業設備投資(全産業)
    遅行系列:法人税収入
  2. 先行系列:所定外労働時間指数(調査産業計)
    一致系列:耐久消費財出荷指数
    遅行系列:営業利益(全産業)
  3. 先行系列:中小企業売上げ見通し DI
    一致系列:新規求人数(除学卒)
    遅行系列:新設住宅着工床面積
  4. 先行系列:東証株価指数
    一致系列:有効求人倍率(除学卒)
    遅行系列:完全失業率

 

【解答と解説】
解答:エ

ポイント

先行系列
景気の動きに先行して反応をしめす指標のことです。先行系列の指標として、消費者態度指数や東証株価指数など、12項目の指標を利用しています。先行系列の指標から算出された指数のことを先行指数(leading index:リーディング・インデックス)といいます。先行指数は、数ヶ月先の景気の動きを示します。

一致系列
景気の動きにあわせて反応をしめす指標のことです。一致系列の指標として、生産指数や有効求人倍率など、11項目の指標を利用しています。一致系列の指標から算出された指数のことを一致指数(coincident index:コインシデント・インデックス)といいます。一致指数は、景気の現状を示します。

遅行系列
景気の動きに遅れて反応をしめす指標のことです。遅行系列の指標として、家計消費支出や完全失業率など、6項目の指標を利用しています。遅行系列の指標から算出された指数のことを遅行指数(lagging index:ラギング・インデックス)といいます。遅行指数は、半年から1年遅れで反応します。

先行系列 一致系列 遅行系列
1 最終需要財在庫率指数 生産指数(鉱工業) 第3次産業活動指数(対事業所サービス業)
2 鉱工業生産財在庫率指数 鉱工業生産財出荷指数 常用雇用指数(製造業)
3 新規求人数(除学卒) 大口電力使用量 実質法人企業設備投資(全産業)
4 実質機械受注(船舶・電力を除く民需) 稼働率指数(製造業) 家計消費支出(全国勤労者世帯、名目)
5 新設住宅着工床面積 所定外労働時間指数(製造業) 法人税収入
6 耐久消費財出荷指数 投資財出荷指数(除輸送機械) 完全失業率
7 消費者態度指数 商業販売額(小売業)
8 日経商品指数(42種総合) 商業販売額(卸売業)
9 長短金利差 営業利益(全産業)
10 東証株価指数 中小企業売上高(製造業)
11 投資環境指数(製造業) 有効求人倍率(除学卒)
12 中小企業売上げ見通しD.I.

金融大学引用

 

解説

ポイントに示した表が理解できていれば、正解の選択肢はエであるとわかります。

下記のことを理解できていれば、予想を立てて解くこともできます。

  • 先行系列は景気の動きに先行して反応をしめす指標。
  • 一致系列は景気の動きにあわせて反応をしめす指標。
  • 遅行系列は景気の動きに遅れて反応をしめす指標。

よって、正解の選択肢はエです。

 

 

 

 

 

【第7問】
2016 年 9月、日本銀行は金融緩和強化のための新しい枠組みとして「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入した。この枠組みでは、「消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」こととされている。
マネタリーベースに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a マネタリーベースは、金融部門から経済全体に供給される通貨の総量である。
b マネタリーベースは、日本銀行券発行高、貨幣流通高、日銀当座預金の合計である。
c 日本銀行による買いオペレーションの実施は、マネタリーベースを増加させる。
d 日本銀行によるドル買い・円売りの外国為替市場介入は、マネタリーベースを減少させる。

〔解答群〕

  1. aとc
  2. aとd
  3. bとc
  4. bとd

 

【解答と解説】
解答:ウ

ポイント

マネタリーベース
「日本銀行が供給する通貨」のことです。具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と「日銀当座預金」の合計値です。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

日本銀行引用

 

解説

aからdまで順番に見ていきます。

aは不適切です。マネタリーベースは日本銀行が供給する通貨です。

bは適切です。ポイントにも示しましたように、マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」です。

cは適切です。日本銀行による買いオペを行うことで、民間銀行の日銀当座預金が増加します。その結果、マネタリーベースが増加します。

dは不適切です。 日本銀行によるドル買い・円売りの外国為替市場介入することで、市場へ円を供給することになります。その結果、マネタリーベースは増加します。

よって、正解の選択肢はウです。

 

 

 

 

 

【第8問】
投資の決定に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a ケインズの投資理論によれば、利子率の低下は投資を増加させる。
b 資本ストック調整原理によれば、投資の調整速度が大きいほど、投資が減少する。
c 投資の限界効率とは、投資収益の現在価値の合計を投資費用に等しくさせる収益率である。
d トービンの q とは、企業の市場価値を資本の割引価値で除したものである。

〔解答群〕

  1. aとc
  2. aとd
  3. bとc
  4. bとd

 

【解答と解説】
解答:ア

ポイント

ストック調整原理
設備投資行動理論の一つで,将来予測される需要動向に見合った最適な資本ストックと,現存の資本ストックとの間にギャップが存在する場合,企業はそのギャップを埋めるため調整的な設備投資を行なうとする考え方。

トービンのq
企業の金融市場における株式総額 (再取得価格) を企業の保有する資本ストックの総量を再投資する資本財価格で割った指標である。 株式市場での企業の評価額よりも企業の実物資産のほうが大きければ (つまり qが1より大きければ) ,投資家は実物投資を選択し,逆に株式市場での評価額のほうが企業の実物資産の再投資価格を上回れば (つまり qが1より小さければ) ,投資家は株式市場での企業資産を選択します。

コトバンク引用

 

解説

aからdまで順番に見ていきます。

aは適切です。利子率が低下すると、投資対象となるプロジェクトの期待収益率>利子率となるものが多くなります。その結果、投資を増加させます。

bは不適切です。投資の調整速度が大きいと言うことは、材料費の高騰や進捗状況にだぶつきをもたらすため、投資は増加します。

cは適切です。投資の限界効率は投資収益の現在価値の合計を投資費用に等しくさせる収益率です。

dは不適切です。ドーピンのq=企業の市場価値/資本の再取得価格 です。

よって、正解の選択肢はアです。

 

 

 

 

 

【第9問】
下図は、IS 曲線と LM 曲線を描いている。この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

(設問1)
IS 曲線、LM 曲線は、それぞれ生産物市場と貨幣市場を均衡させる GDP と利子率の関係を表している。下記の記述のうち、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

  1. Ⅰの領域では、生産物市場が超過需要であり、貨幣市場が超過供給である。
  2. Ⅱの領域では、生産物市場と貨幣市場がともに超過供給である。
  3. Ⅲの領域では、生産物市場と貨幣市場がともに超過需要である。
  4. Ⅳの領域では、生産物市場が超過供給であり、貨幣市場が超過需要である。

 

(設問2)
公債の資産効果を IS-LM 分析によって考察する。下記の記述のうち、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

  1. 資産効果は、家計の消費支出を刺激することで、IS 曲線を左方にシフトさせる。
  2. 資産効果は、必ず GDP を増加させる。
  3. 資産効果は、必ず利子率を上昇させる。
  4. 資産効果は、貨幣需要を増加させることで、LM 曲線を右方にシフトさせる。

 

【解答と解説】
(設問1)解答:イ
(設問2)解答:ウ

 

解説(設問1)

  1. 不適切です。Ⅰの領域では、生産物市場が超過供給であり、貨幣市場が超過需要である。
  2. 正解です。Ⅱの領域では、生産物市場と貨幣市場がともに超過供給である。
  3. 不適切です。Ⅲの領域では、生産物市場が超過需要であり、貨幣市場が超過供給である。
  4. 不適切です。Ⅳの領域では、生産物市場と貨幣市場がともに超過需要である。

 

ポイント(設問2)

資産効果
資産の保有が消費支出に及ぼす効果のことで,所得が同一であれば,保有する資産が多いほど消費者は消費支出を高めることになるというもの。これを流動資産である貨幣についてみてみると,かりに名目的な貨幣存在量が一定であるとしても,価格水準が低落すれば貨幣の実質価値は増大し,これが消費支出を高める方向に作用することになる。

 

解説(設問2)

  1. 不適切です。資産効果は、投資や消費を刺激することで、IS曲線は左側へシフトすることになります。
  2. 不適切です。IS曲線とLM曲線のシフトの仕方によってはGDPが変わらないことがありえます。
  3. 正解です。公債の購入によって投資が増加し、公債の資産効果については金利を上昇させます。
  4. 不適切です。資産効果は、貨幣需要を増加させることで、公債の発行によって市中の資金が減少します。つまり、マネタリーベース自体が減少するのでLM曲線は左方にシフトさせる。

 

 

 

 

 

【第10問】
価格と消費者余剰について考える。下図に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

  1. 価格が $P_0$ のとき、消費者が $Q_0$ を選択する場合の消費者余剰は、消費者の支払意思額よりも大きい。
  2. 価格が $P_1$ のとき、消費者が $Q_1$ を選択する場合の消費者余剰は、$Q_0$ を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。
  3. 価格が $P_2$ のとき、消費者が $Q_1$ を選択する場合の消費者余剰は、$Q_2$ を選択する場合の消費者余剰よりも大きい。
  4. 価格が0のとき、実際の支払額は0なので、消費者が $Q_0$ や $Q_1$ を選択しても、消費者余剰は得られない。

 

【解答と解説】
解答:イ

ポイント

消費者余剰
消費者が財を消費して得る利益を貨幣で表す概念であり,財を消費して得られる効用とその財の対価として支払われる支出の差額として定義され,部分均衡分析において需給曲線と価格線によって囲まれる三角形で表される。

コトバンク引用

 

解説

  1. 不適切です。消費者が$Q_0$を選択する場合の消費者余剰はAです。消費者の支払い意思額はB+C+Dです。消費者余剰 < 消費者の支払い意思額です。
  2. 正解です。消費者が $Q_1$ を選択する場合の消費者余剰はA+B+Eです。$Q_0$ を選択する場合の消費者余剰はA+Bです。よって、 $Q_1$ の消費者余剰 > $Q_0$ の消費者余剰であり、適切です。
  3. 不適切です。消費者が$Q_1$を選択する場合の消費者余剰はA+B+C+E+Fです。消費者が$Q_2$を選択する場合の消費者余剰はA+B+C+E+F+Hです。よって、$Q_1$ の消費者余剰 < $Q_2$ の消費者余剰です。
  4. 不適切です。価格が0のとき、消費者が$Q_0$を選択したときの生産者余剰はA+B+C+Dです。また、消費者が$Q_1$を選択したときの生産者余剰はA+B+C+D+E+F+Gです。

 

 

 

 

 

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