経済学・経済政策

中小企業診断士:2017年度経済学・経済政策(16-20)

【第16問】
近年、保育や介護の現場における人手不足が社会問題となっている。この問題に対処するための方策として、これらに関わる職種の賃金の引き上げが検討されることがある。そこで、賃金の引き上げと労働供給の関係を考察することにした。
下図を参考にしながら、次の文中の空欄A〜Dに当てはまる語句として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

人手不足を解消するためには、現在働いていない人に新規に就労してもらうか、あるいは現在パート勤務などの短時間労働の人に今までよりも長い時間働いてもらうことが必要である。
すでに働いている人が賃金の上昇によってもっと働くようになるかどうかは、代替効果と所得効果によって決まる。賃金の上昇は、 効果によって労働供給を増やし、 効果によって労働供給を減らす。両者の関係は、通常、低い賃金水準では 効果の方が大きく、高い賃金水準では 効果の方が大きい。したがって、現在の賃金が低い水準であるならば、賃上げは、労働時間を増やして人手不足の解消に寄与する。逆に、もし現在の賃金が高い水準にあるとすれば、賃上げは労働時間を減らすことになる。

〔解答群〕

  1. A:所得 B:代替 C:所得 D:代替
  2. A:所得 B:代替 C:代替 D:所得
  3. A:代替 B:所得 C:所得 D:代替
  4. A:代替 B:所得 C:代替 D:所得

 

【解答と解説】
解答:エ

ポイント

代替効果
ある財の価格が変化した時に、消費者が同じ効用を保つために、消費する財の組み合わせを調整する現象のこと。

所得効果
ある財の価格が変化した時に、消費者の使えるお金が変化するため、財の購入量に影響を与える現象のこと。

 

解説

労働において代替効果は低賃金の段階においては、余暇時間を労働時間に変換させ賃金を得ます。お金にならない余暇時間を減らし、お金になる労働時間を増やします。

効率的に働くことで、賃金は上昇しますが、所得が上がると余暇時間の価値が相対的に上がります。そのため労働時間を減らして余暇時間を増やします。

以上のことから、問題文の穴埋めは下記のようになります。

すでに働いている人が賃金の上昇によってもっと働くようになるかどうかは、代替効果と所得効果によって決まる。賃金の上昇は、 A:代替 効果によって労働供給を増やし、 B:所得 効果によって労働供給を減らす。両者の関係は、通常、低い賃金水準では C:代替 効果の方が大きく、高い賃金水準では D:所得 効果の方が大きい。

よって、正解の選択肢はエです。

 

 

 

 

 

【第17問】
日本は諸外国に比べて労働時間が長いため、休日の過ごし方が重要である。ある共働きの夫婦について休日の過ごし方を考える。夫の趣味は水泳であり、妻の趣味はジョギングである。2人とも自分の好きなことに付き合って欲しいので、基本的には、別々の行動はとりたくない。下表の利得マトリックスは、夫婦の戦略(水泳とジョギング)とそれにより得られる利得を示したものである。カッコ内の左側が夫の利得、右側が妻の利得である。
このゲームに関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a このゲームには、支配戦略がある。
b 夫と妻がともに水泳をするとき、夫と妻のどちらかが戦略を変えると、戦略を変えた方の利得が下がるので、(水泳,水泳)はナッシュ均衡である。
c 夫と妻がそれぞれ自分の趣味を選ぶとき、夫と妻のどちらかが戦略を変えると、戦略を変えた方の利得が下がるので、(水泳,ジョギング)はナッシュ均衡である。
d 夫の戦略としては、妻がジョギングがよいといえばジョギングに行くのがよく、また、水泳がよいといえば水泳に行くのがよい。

〔解答群〕

  1. aとb
  2. aとd
  3. bとc
  4. bとd

 

【解答と解説】
解答:エ

ポイント

ゲーム理論
ゲームを行う場合、相手の手の打ち方を読んで、できるだけ自分の得点を高くし、失点を少なくするにはどうするか、という方策を求める数学理論。

コトバンク引用

 

解説

aからdまで順番に見ていきます。

aは不適切です。夫が水泳を選ぶと、妻は水泳を選びます。夫がジョギングを選ぶと、妻はジョギングを選びます。妻が水泳を選ぶと、夫は水泳を選びます。妻がジョギングを選ぶと、夫が夫はジョギングを選びます。相手がどんな戦略を取っても常に1つの最適解が決まる、支配戦略ではありません。

bは適切です。(水泳、水泳)はナッシュ均衡です。

cは不適切です。(水泳,ジョギング)の場合、夫が水泳からジョギングに戦略を変えると利得が10から15に上がり、逆に、妻がジョギングから水泳に戦略を変えると利得が12から15に上がります。そのため、(水泳,ジョギング)はナッシュ均衡ではありません。

dは適切です。夫は、妻がジョギングがよいといえばジョギングに行く(30,15)のがよく、また、水泳がよいといえば水泳に行く(15,30)のがよい。

よって、正解の選択肢はエです。

 

 

 

 

 

【第18問】
商品には、新しく登場するものや、市場から姿を消すものがある。その過程を説明する下図に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a 右図では、当初、この商品の限界費用がとても高いので市場が成立していない。
b 左図では、技術進歩によって供給曲線 S がシフトするにしたがって、この商品の市場が成立する。
c 右図では、代替品の登場によって需要曲線 D がシフトすれば、この商品はやがて市場から姿を消す。
d 左図では、市場への新たな生産者の参入で需要曲線 D がシフトすることにより、市場が成立する。

〔解答群〕

  1. aとb
  2. aとd
  3. bとc
  4. cとd

 

【解答と解説】
解答:ウ

 

解説

aからdまで順番に見ていきます。

aは不適切です。右図では、高い位置からの供給で固定費が多いことがわかりますが、需要曲線も相応に高い位置から推移しており、市場は成立していることを示しています。

bは適切です。左図では、供給は、技術進歩などによって安く生産できるようになり、下方シフトした場合において成立する市場になります。

cは適切です。右図では、代替品が登場し、安い物を求めるために需要曲線が下方にシフトした場合には、やがて姿を消すことになります。

dは不適切です。左図では、消費者に極端な所得の増加が起きる場合などで需要曲線がシフトしたときに、市場は成立します。

よって、正解の選択肢はウです。

 

 

 

 

 

【第19問】
公共財や私的財などの財の特徴として、最も適切なものはどれか。

〔解答群〕

  1. 海洋漁業における水産資源は、すべての漁業者が無償で等しく漁を行うことができるという理由で、競合的な性格を持たない。
  2. 公共財の場合だけでなく、競合性と排除性を持つ私的財の場合にも、フリーライダーは出現する。
  3. 公共財は、競合性と排除性を持たないので、等量消費が不可能になる。
  4. 有料のケーブルテレビは、その対価を支払わない消費者を排除できる排除性を持つが、対価を支払った消費者の間では競合性がない。

 

【解答と解説】
解答:エ

 

解説

  1. 不適切です。洋漁業における水産資源は、漁獲量に限りがあるため、競合的な性格をもちます。
  2. 不適切です。フリーライダー問題は非競合性、非排除性を持つもので起こります。競合性と排除性を持つ私的財には起こりません。
  3. 不適切です。公共財は、競合性と排除性を持たないので、等量消費が可能になります。
  4. 正解です。有料のケーブルテレビは、契約の有無により排除性を持つが、契約をし対価を支払った消費者の間では競合性はありません。

 

 

 

 

 

【第20問】
下表に基づき、国際分業と比較優位について考える。製品P1個を生産するのに、A国では 5人の労働が必要であり、B国では 30 人の労働が必要である。また、製品Q1個を生産するのに、A国では 5人の労働が必要であり、B国では 60 人の労働が必要である。
このような状況に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

〔解答群〕

  1. A国では、製品Qの労働生産性が相対的に高いので、製品Qの相対価格が高くなる。
  2. A国は製品Qに絶対優位があり、B国は製品Pに絶対優位がある。
  3. B国は、A国に比べて、製品Pについては $\displaystyle \frac{ 1 }{ 6 }$、製品Qについては$\displaystyle \frac{ 1 }{ 12 }$の生産性なので、製品Qに比較優位を持つ。
  4. 1人当たりで生産できる個数を同じ価値とすると、A国では、製品P1個と製品Q1個を交換でき、B国では製品P2個と製品Q1個を交換することができる。

 

【解答と解説】
解答:エ

ポイント

国際分業
各国がそれぞれの特性に最も適した商品をつくり,貿易を通じてその交換を行うこと。国際貿易が行われるのは,諸国民が国際分業によりその利益を受けられるからである。

比較優位
自由貿易体制では他国より優位な財の生産に集中することで、労働生産性が増え、高品位の財やサービスの提 供を受けれるという現象である。

コトバンク引用

 

解説

  1. 不適切です。A国では、製品Qの比較優位が高いため、相対価格は低くなります。
  2. 不適切です。製品P、QどちらもA国の方に絶対優位があります。
  3. 不適切です。B国は製品Pに比較優位を持ちます。
  4. 正解です。A国で製品Qを1個作るには5人が必要で、5人いれば製品Pは1個でき、B国で製品Qを1個作るには60人が必要で、60人いれば製品Pは2個できるため、適切です。

 

 

 

 

 

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